「俺はやっと自分の気持ちに気づいたんだ…!政宗さんが、好きなんだ!」



「ひすい……」




「『ひすい』?それが君の名?」



政宗の呟きに反応した悠は更に笑みを深くした。





「やっと知れた…。そうか、ひすいか。良い名だね。くくっ、くくくっ……!」





ひとりで合点がいっている悠は突然堪えながら笑い出した。




ひすいはより政宗にしがみつき、政宗もまた彼女を守るようにしっかりと抱きしめた。





「ひすい。さあ、おいで?」




悠が優しく彼女の名を囁くと、ひすいは一言苦しそうにうめき声を上げて喉元を押さえだした。




「ひすいっ……!?」




政宗は倒れかかるひすいを受けてめて、彼女の意識を確認するために肩を揺すった。




「どうしたんだっ!ひすいっ!」




必死に叫ぶ政宗を横に、悠は楽しそうに事の経過を眺めていた。



その表情に気づいた政宗は、直感で彼の仕業であると察知した。





「お前………!ひすいに何をしたっ!」




「ふふっ。効いてよかったよ。彼らが言うにはこの女には名が無いと聞いていたからね」




「彼ら?」




「ああ、<鷹>の人たちだよ。彼らは本当にひすいを慕っているんだね。僕が彼らの一人を半殺しにするまで居場所がここであると言わなかったんだ」




悠は目を閉じて呟く。




「馬鹿だよね。所詮、頭領なんてものはただの力量の差にすぎないんだ。僕の<獅子>は誰も僕を慕っても信じてもいないと思うよ」