「似て非なるもの、だと?」
政宗は悠を睨んだ。
「ふふ。そうさ、伊達政宗公。僕は<獅子>の頭領の悠っていうよ。悪いけど、貴方より先にこの女の唇は頂いた。…………ああ、そうだ。貴方はもう彼女の首筋を見たかな?」
悠は舌で下唇を舐めあげ、愉快そうにせせら笑う。
そんな表情に政宗の形相は更に険しくなった。
「お前があれをやったのか……!」
「綺麗に咲いているでしょう?上手に付けたつもりだったけど、思いのほか彼女のそそる声は聞こえなかったんだ」
悠は残念そうな息を漏らしたが、それほど落胆したようには見えなかった。
ひすいはあの時の恐怖に肩を震わせる。
そっと群青の首巻きの上からあの跡を撫でてみる。
すると、政宗はその手を握り、安心させるように静かにひすいを抱き寄せた。
「案ずるな。お前は俺が守る」
政宗は囁くようにそう言った。
「けどっ……!」
この男はこう言うが、心配でもある。
まだ病み上がりの身で一体何ができようか?
心なしか、彼の身体は先程よりも熱くなっている。
もしかしたら、再熱したのかもしれない。
しかし、政宗は
「…………愛す女はこの手で守るのみ。これ以上お前のそんな姿は見たくないからな」
と微笑みながら言った。
そんな政宗の顔を見て、ひすいは頬の熱が上がってくるのを感じた。