♪~♪~
この着信音は…美海だ!
『もしもし?』
【あ、お兄ちゃん?美海、英和辞典忘れちゃったの!お兄ちゃん持ってる?】
『あぁ、学校に置いてあるよ』
【貸してくれないかな?】
『いいよ。じゃぁそっち持ってくな』
【あ、いいよ。美海が行くから♪てか、もう向かってるし】
『はっ!?ちょ、お前そこから動くな!待ってろ!』
俺はドアを開けた。
だって、俺のクラスは―…
「どうして来たらダメなの?」
ケータイを耳から離し、首をかしげている美海。
『―…っ。いや、なんでも…。ちょっと待ってろ。辞書取ってくっから』
「ありがと♪」
「え、もしかして、噂の拓海の妹!?」
「うわっ、遠目で見るより超可愛いんだけど!」
俺のクラスは、男クラだから…。
いつの間にかクラスの連中は美海を囲んでいる。
「お兄ちゃんがいつもお世話になってます!」
「可愛い~~」
口を揃えて言った。
「えっ!?そんなことないです!!」
頬を赤らめる美海。
そんな顔、俺以外に見せんなよ…。
美海を見るなよ…。

グイッ

俺は美海の腕を引いた。
「わっ!お兄ちゃんどうしたの?」
『え…っと、授業、遅れるぞ』
「ぎゃっ、ホントだ!じゃぁ、また返しに来るね?」
『や、俺が取りに行く』
「へ?でも…『いいから』
「分った!ありがと♪」
美海は手を振って、去って行った…。