【完】禁断の恋

『っ!そうなんだ』
「はい。来年あたし引退なんで、頑張って部員勧誘しないと」
『お前の絵見せたら、みんな入るよ』
「今年、入りませんでしたよ?」
『分るヤツには、分るんだよ。お前の絵の魅力』
「ッ…」
なにそれ、なんか、嬉しい…。
それは、絵を褒められたから?
それとも、先生の言葉、だから?
どっちなんだろう?
『あ、吉池、俺の絵書いてよ』
「先生のですか?…いいですよ。じゃぁ、そこの椅子に座って下さい」
『了解♪』
先生が座ると、あたしはスケッチブックの新しいページを開いた。
「じっとしててくださいよ?」
あたしは先生の顔をじっと見つめる。
『……やっぱ、いいわ』
「え、なんでですか?」
『それは……ほら、俺ってじっとしてれねぇからさ』
「そう、ですか」
?なんだろう、どこか、様子がおかしい。
「あの『あ、俺、吉池の絵、描きたい』」
「あたしの、ですか?」
『ダメか?』
「いいですよ、先生の腕がどれほどか拝見いたします♪」
あたしは椅子に座った。
『真顔じゃなくって、笑ってて』
「えっ!?は、はい…」
先生があたしの顔を見る。
う……、なんか、恥ずかしい。
好きな人に、長い間見られるって、なんだかくすぐったい…。
うぅぅ、なんか絶えれないよ…。
『あ、動くなよ』
「スイマセン」