【完】禁断の恋

どうしたんだ…?
『ッ!』
この子、痴漢されてる!?
俺は痴漢野郎の手を抑えた。
『何やってんだ!』
「わ、わたしはなにも!!」
40歳くらいの男か。
『痴漢なんて、恥ずかしくねぇの?』
「ち、痴漢などしていない!」
『は?とぼけんじゃねぇよ。次の駅で降りろよ』
「くそっ」
男は俺に鞄を叩きつけてきた。
『ッ―…』
この鞄には何が入ってんだよ!
「覚えてろ!」
男は駅に着き、降り、駅員に連れて行かれた。
俺も駅に降りた。
「あ、あの!!」
俺のシャツを掴んだ子。
「あ、ありがとうございました!」
『大丈夫だった?』
「はい!あの、鞄叩きつけられてましたけど…平気ですか?」
『大丈夫だよ、ほら』
俺は手をプラプラさせた。
「赤くなってる!ちょっと来て下さい」
『え、ちょっ!』
その子は俺の手を引き、ベンチに座らせ、濡らしたハンカチを俺の手に当てた。
「ごめんなさい…あたしのせいで…」
『気にしないで。俺が勝手にしたんだから』
「ッ…でも…」
手、まだ震えてる…。
『怖かったよな?よく、泣かないで我慢したな。もう、泣いてもいいんだよ?』
「ッ……ッごめッなさ……ッ」
俺は彼女の頭を撫でてあげた。
「ッ――――」
その子は顔を真っ赤にした。
『あ、ゴメン…』
「え!?い、いえ…」
なにこの子、可愛い…。