「お兄ちゃんおまたせ!」
『ん。行くか』
遊園地に着き、たくさんのアトラクションを回った。
タイムリミットは、刻一刻と…確実に迫っていた。
「最後に観覧車乗ろう?」
『うん』
俺たちは観覧車に乗った。
「今日は楽しかったね!また連れてきてね?」
『……』
「拓海、今日ずっと元気ないね?どうかしたの?」
『美海、別れよう…』
「えっ…?いきなり…なんで?」
『やっぱりダメなんだよ。兄妹での恋は…』
「そ、んな…」
『世間が、認めてくれないんだ…』
「世間なんて、関係ないよ!」
俺だって、そう思うよ…?
『美海!俺たちは、結婚できない。たとえ子供ができても、その子供になんて説明するんだ?』
「ッ……」
『正直に言うと、俺だって別れたくない』
「だったら!『バレたんだよ、母さんと父さんに』
「嘘……」
『ずっと大切に育ててもらった大切な両親だ。悲しませたく…ないだろ?』
「……うん」
『だから、これが最後のキス』
「最後…?そんなの…嫌だよっ」
『美海!頼む…分ってくれ…』
「分んないよ!ママたちのことは大事だよ!?でも、美海は…美海は拓海が好きなの!誰よりも好きなの!もう抑えきれないくらいに好きなのに…。愛してるのに…なんで…諦めなくちゃいけないの…?嫌だよ…」
『美海…俺もそうだよ。でも…仕方ないんだ』
「…っ…」
『最後の、キスだ…』
俺たちは、キスをした。
最後のキスは…しょっぱかった。
『俺は、もう一周してくから…』
「……ん」
観覧車が、地上に着いた。
「―――――」
『ッ』
美海は、観覧車から下りた。