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「きゃあー!海ー!!」

「渡辺さん、はしゃぎすぎよ」

「だってー!海だよぉ!」

百合香ちゃんが呆れ顔で言うも、亜紀ちゃんはきゃっきゃっとはしゃいで浜辺を走り回る。


ここはシングル『夏に恋して』のPV撮影が行われた場所。


果てしなく続く青い海。

もうすぐ夏の終わりが来ようとしている海は、真夏とは違った印象で、ちょっぴり寂しく感じた。

ここでてっちゃんと西村陽花が手を繋いで歩いたり、メロンクリームソーダを仲良く分けあって飲んだのか…。

PVの場面が次々と頭に浮かんでくる。

やっぱり…胸がチクチクなっちゃう。



そっと海の水に触れてみた。

「冷たっ…」

寄せては返す、静かな波。


色んなことがあった夏…もうすぐ終わるんだな。

てっちゃん達と友達になれた、夏の始まり。
気付けばもう、夏の終わり。
夏って短いね。

でも…凄く内容が濃かった。

最高の夏になったよ。


「優奈ー!何してるの!バーベキュー始まるよ!」

振り向くと、少し向こう側で亜紀ちゃんが大きく手を振っていた。


そうだ…お昼はここでバーベキューだった。

私は慌てて亜紀ちゃんと百合香ちゃんのもとへと駆け寄る。


「もぉー、一人で何してたの?」

「えっと…ちょっとぼんやりしちゃってた」

「ゆうにゃんらしいわね」

亜紀ちゃんの質問に答えると、百合香ちゃんがサラッとそう言った。

うう…私らしいって、そんなにいつもぼんやりしてるかなぁ。


そんなことを思っていると、

「はいっ!どんどん焼くからいっぱい食べろよー!」

浩ちゃんが先頭に立ち、バーベキューが始まった。


「わー、美味しそう!」

「いただきまーす!」

ファンの子達が楽しそうに食事を始める。

ほんと美味しそうー!
なんだか急にお腹が空いてきた。


「さっ、私達もいただきましょう」

「うんっ!お肉ー!」

百合香ちゃんの言葉に、亜紀ちゃんが張り切って返事をする。