「私と居て、勘違いされない?」 夕方の公園のベンチ。 ブランコに乗って叫んでるのは、入江杏奈ーアンナー。 中学からの付き合いで、唯一、男女の友情が成立したヤツ。 「さぁな」 入江に届くか届かないかの声で呟けば、ブランコは錆びた音を起てて止まる。 「家族を理由にしてたら、高梨は一生、幸せになれないかもよ。全てを知ってて、愛してくれる萌ちゃんが可哀想」 「……」 入江には、親父が本当のところ、“母親の彼氏”だと告げてある。 言えないのは、血の繋がった父親は犯罪者で、服役中である事。