「守られてたのは俺の方だよ。だから…ありがとう。」


俺も身体を起こす。
…節々の痛さは脚立から落下したからなのか、竜関係のいざこざからなのか。


ふと彼女の頬を見やると…痛々しい傷が残っている。
俺は何の躊躇いもなくその頬に触れた。
一瞬彼女がびくっと身体を固くする。


「…熱傷、残ってんじゃん。」

「小澤さんも打撲とか普通に残ってますよ。私だけじゃありません。」

「でも大島さん…顔だし。」

「自然治癒力の力を侮ってはいけません。自然に治りますよ。」

「ほんっとさ…なんていうかメンタル面すごく強いよね。」

「小澤さんも竜と話すなんてかなりメンタル面強いかと思いますけど。」

「大島さんのその瞳には負けるよ。」

「え?」


こういうきょとんとした顔はあどけなくて年相応だ。
だけど、剣を握れば彼女は変わる。全くの別人のように。


剣を握った彼女にあるのは『凛とした美しさ』。


「ねぇ、大島さん。」

「何ですか?」

「名前、呼んでもいい?」