* * * * *


「…っ…てぇ…。」

「あの…小澤さん…。」


ん?なんだかやたら彼女の声が近くで聞こえる。
俺はゆっくりと目を開けた。
…どうやら生きているらしい。


目を開けると…


「うわ!大島さん!」


彼女のドアップが俺を待ち構えていた。
抱きしめていた腕を離し、少し距離を取る。


「っ…なんで?っていうか…ここ…。」

「図書館のようです。戻って来たみたいです。」


何事もなかったかのように淡々と彼女は言葉を続ける。
俺の腕には彼女の柔らかさや細さの感覚がありありと残っているのに。


「ってかごめん。なんかどさくさまぎれに抱きしめちゃったりとか…。」

「あ…いえ…大丈夫…です…。」


彼女はゆっくりと起き上った。
俺としては彼女の顔を下から覗くような形になっている。
少し見えるその顔はほんのりと赤い。


「守ろうと…してくれたんですよね?
…ありがとうございました。」


彼女は赤い顔のまま小さく頭を下げた。