俺が書いた文はこうだ。


『皆さんは魔法の本の噂、耳にしたことがありますか?
どこにあるかも本当にあるかも分からない。
だけど触れたら一瞬で別の世界へと飛んでしまう、魔法の本。
その本が現れるのは、土曜日の図書館。
魔法の本の先に待っている世界は一体何なのか…?

今回のオススメ図書は「魔法の本に出会えたら」というテーマで考えてみました。
魔法の本のその先にある未知の世界。
独特の世界観が楽しめる6冊を用意してみました。
読書の秋!様々な本に触れてみてください。』


「本のチョイスも小澤さん?」

「いえ。僕のチョイスは2冊です。」

「2冊?ちなみにどれ?」

「あ、はい。
えっと…春風さんの『アクアマリンの秘密』と美空さんの『幻想アイロニー』です。」

「『アクアマリンの秘密』は少しマニアックじゃない?まぁ『幻想アイロニー』…もマニアックだけど。」

「…あ、そういう反応が普通ですよね…。
って天宮さん、どっちも読んだんですか?」

「読書好きだからね。『アクアマリンの秘密』は世界というよりキャラクターたちの方が面白かったけど。」

「そこは僕も同意です。『幻想アイロニー』は…叶わない恋をしてしまった主人公が、その女性と幸せな恋ができる世界に飛ぶっていう設定が切なくて、僕は結構好きでした。」

「切ない…か。
ところで…魔法の本に話を戻すけど…。」

「あ、はい。」

「随分脚色、というか短く分かりやすくまとめているよね?
でも本当のところはどうなの?」

「え?」


彼の美しい顔を直視すると、男の俺でもなんだかやばい。
魅了されるってこんな感じなんだって、感覚的に分かる。