「小澤…さん?」


彼女の声が少し震えた。
…おそらく動揺しているのだろう。
俺だって動揺している。なんでこんなこと言っちまったんだ?


「…心配。ほっぺも火傷、微妙にしてるじゃん。」

「こんなの掠り傷です。」

「君がものすごーく強いのはよぉーく分かった。
あの蒼刃や白斗に認められるくらいだ。剣の腕もその他の戦闘力も凄いんだと思う。
でも、君が強いことと俺が心配することは別だよ。」


彼女の真っすぐな目を、俺もなるべく真っすぐに見つめ返した。
先に視線を泳がせたのは彼女の方だ。


「…分かりました。小澤さんには心配をかけない程度に戦います。」

「妥協点はその辺だよね。」


まだ目を合わせてはくれない彼女の頬がほんのりと赤い。
…あ、やべ。ちょっと可愛い。


「俺、何にも出来ないけど。だから心配だけはしとくわ。」

「小澤さんには水竜を守るという役目があります。」

「なんでなんだろうねー…懐くとか。よく分かんないよね。」

「…私、少し分かる気がします。」


俯き加減のまま、ぼそっと彼女はそう言った。