土曜日の図書館

「弱ってる…?」

「食事を摂ってない。もう3日になる。水分は摂るけどね。
どうも人間の食べるものは受け付けないみたい。
といっても正確なところはオレたちには分からないんだけど…。」

「お前…食ってないの?」


俺は足元の水竜を撫でながら訊ねる。
くぅんと一度、切なく泣き声を漏らす。


「なるべくスリープをかけた状態で、疲労させないようにはしてるけど、基本的にはそれだけで生命を維持出来るはずがない。その場しのぎでしかないんだ。
だから時間がない。早く群れに戻さないと。」

「つーわけで俺たちが駆り出されたんだよ。アクアマリン王宮たってのご希望でな。」


心底不機嫌そうに蒼刃はそう吐き捨てた。
食ってかかったのはもちろん星来。


「なによーその言い方!蒼刃だってホントは心配してるくせに!」

「誰が心配なんかするか!俺は面倒な仕事押し付けられてうんざりしてるだけだ!」


…こういうところが子どもっぽい。
一度剣を握れば大人顔負け…というか大人や子どもなんていう枠を感じさせないくらいに真っすぐで強いのに、何故だか素直に心配とかそういう気持ちを表せない。
そんなところが魅力的だとは思うけど。


「凛ちゃん、大体こんな感じで大丈夫かな?納得?」

「あ、はい。ありがとうございます。」

「それでね、もし良ければ…なんだけど。」

「何でしょうか?」

「オレたちに協力してくれないかなぁ~?」


まるでちょっと相談に乗ってほしいんだけどと言わんばかりの軽さで、白斗はそう口にした。