「颯!ぼーっとすんじゃねぇ!」


ボウッという荒い炎の音が近くで聞こえる。
ジュワッという氷が溶ける音も同時だ。


「蒼刃…。」

「その籠抱えて走れ。炎竜の追跡から逃れねぇと死ぬぞ!」


間一髪のところを蒼刃に助けられた俺は、そのまま桃依たちの背中を追って走り出した。
時折、籠の中の水竜に話し掛けながら、ただ、必死に。










「…そーろそろ大丈夫だと思うんだけど?」

「森を燃やすのは奴らの意に反するからな。」

「竜は自然と共生してますからね…。」

「最後尾は蒼刃と緑志、あとは颯くん、かな?」



…息が上がる。激しく。



「…っ…はぁ…はぁ…。」

「お前、運動不足なんじゃねーの?」

「そりゃ…図書館勤めなもんで。」

「図書館?」

「…未来の図書館。」

「未来にも図書館あんのかよ。未来っつっても変わんねぇんだな。」

「まぁ、そんなもんです。」

「お怪我ありませんか、颯さん。」

「あー大丈夫大丈夫。この子も無事、な?」


俺は籠の中に問いかける。