「お前ら一体何者なんだよ…。」


蒼刃が剣を抜いて俺たちに近付く。
…剣先はもちろん俺。
俺、何も持ってないのに。


キン…と冷たい音がする。
刃と刃が当たったみたいな音。


蒼刃の剣を上から抑えるもう一つの剣。
その持ち主が彼女だと気付くまでに時間がかかった。


「剣を彼に向けないでください。」

「…お前、ただもんじゃねぇな。」

「あなたたち相手に勝てるなんて思ってません。
全て話しますから剣を鞘に収めてください。
私達は抵抗しませんし、あなたたちに危害を加えたりもしません。」

「…分かったよ。」


そう言うと蒼刃はすっと剣を鞘に収めた。
それに応じて彼女も剣を鞘に収める。
あまりにソツのない動き、そして手慣れた様子が窺えるが、それは彼女の容姿とちぐはぐで妙な違和感がある。


「あの…大島さん?」

「何ですか?」

「君、何かやってるの?」

「何かってなんですか?」

「たとえば…武道とか。」

「剣道を少し。」


…いや、少しじゃないだろ絶対。
そう思ったけど今はそんなことを話していられる空気でもないようで、俺は彼女の背に従った。