今はというとベージュのショートパンツ。
上は少し緩めのTシャツ。右腕にリストバンド。
そして腰には長い剣が携えられている。


「目覚めたらこうなっていました。
私だけではなく小澤さんもですよ。」

「え?」


そう指摘されて俺は自分の服装を見やった。
…確かに。着替えていたのは彼女だけではない。


カーキの長いズボンにTシャツ。
…なんだか作業員みたいな服装だ。
しかも彼女とは違って俺に剣は装備されていない。


「なんで君だけ剣を…?」

「さぁ。でも私達の所持品で武器らしい武器といえばこの剣くらいしかないようです。」


淡々と怖いことを言ってのける彼女はどう見たって戦えそうにない。
身体の線は細く、小柄。見た目は文学少女だ。
いつもは肩を少し越える程度のおさげ髪だが、今はなぜかポニーテールだけど。


黒い髪に黒の瞳。
この奇妙な状況に対して揺らがない芯の強さは感じるけれど、それがイコール戦闘力とはなりえないはずだ。


かといって俺が剣を持っていたところで太刀打ちは出来ないけどな、と呟く。
基本的に平和主義者ゆえに戦いは好まないし、そういうセンスもない。


…やばいぞこれは。何かに襲われたら絶対に死ぬ。
そう思った時だった。


「誰だ、お前ら。」


低く、鋭く、その声は響いた。