眠りの聲(こえ)―宗久シリーズ小咄2―

新学期独特の、浮かれた教室の空気。






その中には、八坂の姿もあった。









クラスメイトに周りを囲まれ、その中心で、恥ずかしそうに笑う八坂の姿。




見つめ、僕は笑う。










良かったな、八坂。


皆、待っていたんだよ。





八坂が思う程、その存在は軽くはない。



生きていれば、必ず誰かには必要とされているものなんだ。








この世界は、そんな繋がりがあるからこそ、楽しい。









「あ、先生だ!」

「おはよ〜!先生」









……気付かれたか。


もう少し、待っていてやろうと思っていたのに。







まぁ、いいか。




これからも、たくさん時間はあるだろう。











僕は、教室の戸に手を掛けた。








さて…今年もまた一年。



この、無邪気な若いパワーに引きずり回されてやろうかな。










瑞江さんが怒らない程度にね。













眠りの聲 終








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