『花も綺麗なんだけど、この女の人も綺麗だね。』
私が笑って言うと蓮君はしばらく写真を見ている。と、私を見る。
「ああ。綺麗だな。」
ちょっと意外な返答にびっくりした。
蓮君、否定とかしそうだから。
『彼女さん、とか?』
私は茶化すように蓮君に語りかける。
蓮君はパッとこちらを向くと少し悩んだ素振りを見せる。
「姉」
嘘だ!分かりやすすぎ!
でも何故か私の胸はチクリ、と痛かった。
言おうと思ったけど蓮君のさっきの優しい笑顔を思い出すと何故か言えなくて。言いたくなくて。
『そうなんだ』
私は笑って蓮君のほうに視線を向ける。
私、うまく笑ってる?
そんな時タイミングよく本鈴が鳴る。心の中でガッツポーズ。
『じゃぁ蓮君、また話そうね。』
私はそういって前に向きなおす。
先生がドアを開けて入ってくる。

――よしがんばろう。

私は机に視線を落とした。