坂井が、体育館に入ると、梨沙と千奈が、
シュートを打っていた。


  “こいつらも、去年と同じか”


坂井は、がっかりした。

梨沙と千奈が、坂井を見つけると、


  「こんにちはー」


と挨拶したが、そのまま、シュートを
打ち続けていた。

坂井のモチベーションは、ガクッと下がった

そこで、2人の所へ行くと、


  「おいっ、キャプテンは、どうした?」


  「サキなら、走りに行ってます」


  「キャプテンに、走らせておいて、
   お前たちは、何をしてるんだ」


  「私たちは、授業が早く終わったので、
   先に走って、自主練してます」


  「その方が、効率がいいって、
   サキが、言うから」


  「そっ、そうか」


  “やはり、こいつらは、違う”


そう思うと、坂井の、萎えかけていた
モチベーションが、頭をもたげた。

梨沙が来て、


  「あのう、コーチ」


  「ん? 何だ?」


  「自主練って、どんなことをしたら、
   いいですか?」


キャプテン以外から、練習の、
相談を受ける事など、久しく、無かった。

坂井のモチベーションは、再び急上昇した。