すると、三田が、笑いながら、


  「“じゃあ”って何だよ、じゃあって。

   合宿はな、
   “辛いのは自分だけじゃない”
   ってことを知るために、するんだ」


  「はい、この合宿で、ようわかりました
   みんな、ウチと、同じなんやって
   思いました」


  「そうだ。
   誰だって、辛い事はしたくない。
   そこで、立ち向かうかどうかだ。
   逃げていたんでは、進歩はない。

   サキだって、ホントは、
   やりたくないかもしれない。
   でも、キャプテンだから、
   逃げられないんだ。

   しかし、そこで立ち止まらず、
   あえて、自分から、飛び込んで行く。
   それが今のサキを、作っているんだ」


友理は、真剣な顔で、聴いていた。

運転していた久美子が、


  「三田さん、いい事、言いますね。
   リエに、聞かせてやりたいですよ」


  「リエ? ああ、あの子か」


  「次期、キャプテン候補なんですが、
   ちょっと、逃げる所があるんですよ」


  「まあ、次期なら、
   まだ、時間があるじゃないか。

   それは、君たちが、育てなきゃな」


  「そうですよね」