車の中で、久美子は、友理に話しかけた。


  「ユリちゃんトコ、
   みんな、仲がいいわねぇ」


  「そうですかぁ?
   もう、サキなんか、鬼ですよ」


すると、野村先生が、思わず、吹き出した。


  「ハハハ、“鬼”は、よかったな」


  「でも、信頼してるんでしょ?」


  「はい、まあ、それは……」


  「みんなの言い方、聞いてたら、
   わかるわよ。

   サキちゃん、人に厳しいけど、
   自分にも厳しい。

   まあ、キャプテンは、そうじゃなきゃ
   ダメなんだけどね」


  「はい。でも、今度の合宿で、サキが、
   スーパーマンじゃない事が、
   わかりましたから」


  「そうよ。みんな、歯、喰いしばって、
   必死に、頑張ってるのよ。

   ユリちゃんだって、もっと頑張れば、
   もっと、出来るようになるわよ。

   これ、マネージャーの、勘」


  「えっ、ホンマですかぁ?
   じゃあ、頑張ります」