『…っ離してよ!』 アイツの返事を聞く前に、勢い任せにアイツの手を跳ねのけた。 かすかにアイツの余韻が残りつつも、冷たい風に覆われる手のひら。 なんだか無性に泣きたくなる。 『…見ないで。』 あぁ、あたし、今、凄く泣きそうな顔してる。 アイツに泣き顔なんて、見られたくないのに。 アイツの前で泣きたくなんか、ないのに。 鼻の奥がツンとなって、今にも涙が零れ落ちそうなの。