いつもは、誰構わず、強気でうるさいのが、あたしなのにね。


先輩の前ではか弱くて、女の子で、泣きそうで。

浮気を見てしまった時でさえ、先輩に気を使うなんて、こんなのあんまりだ。



ここからあたしが、消えて逃げられればいいのに。



「…みぃちゃん。」



―…そんな時、あたしの手を力強く引っ張ったのは、アイツの手のひらだった。



『……っ』

「違うとこに、変えよっか。」



それだけ言ってアイツは、繋いだ手をもう一度強く、握り直す。