でも、アイツは一向に黙ったままで。 『……ねぇ。』 なんで黙るのよ。 なんで、黙っちゃうの。 あたしは、アイツの肩をひたすら揺することしかできない。 『颯?』 ―…アイツって、たまにこういう時があるから、調子が狂う。 笑顔だけは絶対に崩さないくせに、何も喋らなくなって。 言葉を発したとしても、乾いた笑いだけ。 なんとなく痛々しいその表情は、壊れてしまいそうで見ていられない。