……むかつく。


アイツのくせに。
颯のくせに。



あたしのことを無視するし、あたしを避けるし。

…勝手に、留学とかも決めちゃってさ。



勝手にあたしから離れようとするなんて、ずるい。



『待ちなさいよ!』



がむしゃらに叫んだあたしは、息を枯らしながらもさっきよりもスピードを早く出し、

…颯の腕を、ガシッと掴んだ。



「……。」



何も言わずに、あたしに背中を向けたまま立ち止まる颯。


颯がこっちを向く気はサラサラないみたいなので、腕を掴んだまま、あたしの方から颯の前に行くことにした。