―…必死に、学校から颯の家へと駆け抜けた。 急がないと、きっと颯は消える。 先生は“明日の便で”…なんて言ってたけれど。 きっと、それは嘘。 颯は気まぐれで予定を変換して、1人で勝手に旅立っちゃうような…。 …少なくともあたしが知ってる颯は、そういう奴だ。 『……っ』 一生懸命地面を踏みしめて、見えてきたあたしの家と颯の家。 視線を邪魔するかのように乱れる前髪を掻き上げながら、あたしはひとつの影を捉える。