物心ついた時から一緒にいたのに、あたしたちの間には“初めて”だらけ。



…だって、本当に初めて知ったんだよ。


今でも鼻をかすめるような、颯の香り。
力強い、感触。


貧弱だった颯は、どこにも残っていなくって。



初めて颯を、男の人なんだと思った。



―…あの時やっと、颯のあたしへの想いに気づいたの。


ちゃんと颯は、あたしを好きなんだって。
他の女の子とは違う感情を、抱いてくれてるんだって。