―…それは、突然のことだった。 『……っ』 ふわっ、と。 あまりにも優しい風が、あたしを包み込むように吹いて。 一瞬のうちに、あたしは颯にまでも包まれていた。 『颯…っ?』 一体なんなのよ、この状況。 あたしの顔は、すっぽりと颯の胸に埋もれていて。 あたしの頬に伝わる、颯のワイシャツ越しの体温。 あたしの腰には、ゴツゴツとした颯の腕がしっかりと巻きついていた。