部屋を出る間際に、 賢三が留美を呼び止めた。 「留美さんや、 またルノワールに来てくれるか の?」 と訊く賢三に 「奥様の誕生日以外の日に ナンパしてくださったら…ね」 とチョロッとベロを出した。 周囲は訳がわからずポカンとして いたが、 「ハッハッハ! 次に会えるのが楽しみじゃ」 と賢三は大声で笑うと、 留美を見つめて左胸を拳で叩く。 留美も確信めいたように頷いて、 左胸をポンと叩いた。 それを見て、賢三は力強く言った。 「席は二つ用意しておこう!」 ・