改札を出て少し歩いたところで、 留美は後ろが騒々しいなと、 不意に振り返った。 すると、賢三が立っていた辺りで 人だかりができている。 (……っ!?) (まさか…村上さんっ!?) 不穏に思った留美は 慌ててその場に駆け戻った。 留美の心配は的中した。 傍観する人集りの僅かな隙間から 見えたのは、 胸を押さえて倒れている賢三だった。 ・