不満をぶつける矛先を失い、 一人残された留美は より一層孤独感に苛まされた。 と同時に、 あそこまで言わなくても よかったんじゃないか? と省みては自己嫌悪にも陥った。 (かわいくない女だな…) (恭一は 仕事に行っただけじゃない…) 留美だって勤め人の身であり、 仕事の大切さがわからないわけではない。 普段のケンカだったら、 こんなに責めたりもしなかっただろう。 ただ今日だけは違う。 今日だけは「特別な日」だった。 自分からプロポーズしようと 決めていた「今日」だけは。