陶冶と付き合う事になったきっかけは、あまり覚えていないけど、たぶんこうだった。

「沙織さんってミステリアスだね」

彼はおもむろに煙草に火をつけた。そして、私の瞳を覗き込んだ。彼の瞳は、何か獲物を探す猫のような瞳をしていた。

「それに、人を惹きつける綺麗な目をしている。俺と付き合ってくれませんか?」

私は別にかまわないと返事した。