株で失敗して、一文無しになった彼は、言った。

「社会が悪い、俺は悪くない」

「そうだね」

肩を落とす祐樹は、いまにも壊れてしまいそうで、私は彼の手を握り、言った。

「大丈夫だよ、私いるから」

祐樹は嗚咽を漏らし、泣いていた。

「愛ってこうゆう事なのかな」と、彼は呟いた。

「わからない」

私は泣き続ける彼のそばにいた。

「あなたは精一杯やったんでしょ」

「違う、俺は何もできなかった。でも、やろうと思えばできたはずだ。それなのに」

「人にできる事は限られているのよ」

「もう終わった事だ。いつまでもこうしててはいけない。わかっている」

祐樹はふっと笑った。

「終わったんだ、何もかも」