【善】



フレンチ月間が終わり、イタリアン月間に突入した。



俺、やっぱり庶民の味が好きだ…。



「ウマすぎるぞ怜っ!!」

「今日寝坊したからお弁当にかかった時間2分だよ」

「見事な程の冷食だもんな!!シューマイうまいっ!!」

「相変わらず安いボンボンだね~」

「ボンボン言うなよ。中学までの月の小遣い2500円ナメんな」

「善の家って本当にお金持ちなの?」



たぶん金持ちだ。



兄妹みんな習い事を3つずつくらいやってるし。



家政婦さんがいるしな!!



「善のオヤジさんって別荘持ってる?」

「別荘?わからん」

「聞いとけよ?」

「ナゼ?」

「古谷んちの別荘に行くか、俺んちの別荘行くか。炎次んちは別荘っつーより高級ホテルだからつまんねぇの」



どうやら夏休みの計画を立てているらしい。



うちに別荘なんてあんのか?



雷、無駄遣い嫌いだからな…。



久しぶりに電話してみることにした。