それから薬の投与が始まった。 慶介は毎日苦い薬をいくつも飲んだ。 日に日に副作用が出てくる。 あたしは慶介にニット帽を編んだ。 下手くそながらなんとかかぶれる形にはなった。 慶介もバカにしながらも絶対かぶるって言ってくれた。 笑顔を絶やさない慶介。 あたしも慶介の前では笑顔を絶やさなかった。 決して。