断りを入れてから、カレの態度が少し変わった。
いや、変わったって言うのはおかしいかもしれないけど……今までのような、嫌な雰囲気が和らいだ気がしていたのに。
「これ、誰かに見せてみるか?」
私は今……この状況が理解できなかった。
「よく撮れてるよなぁ~。気に入られたら、そいつとやってみる?」
カレは携帯を私に見せ、とてもうれしそうな笑みを浮かべている。そこに映されているのは、私の写メ。でもふつうのものではなく……それは、カレと行為に及んでいる時のもの。
嫌だったけど、その時のノリというか、気分というのか。
顔や秘部を隠し、誰にも見せないからということで撮るのを許可したもので。それが今、どうしてこんなふうに言われるのか、頭が追いつかなかった。
「やる、って……」
「んなの、セックスに決まってるだろう?」
そん、なの……。
「いや、だよ。純さん以外となんて……したくない」
恋人以外の人となんて、考えられない。
従った方がいいんじゃないかとか、そんな考えが浮かんだものの。
これは……絶対に、ダメ。
従ったら戻れなくなる。危険だというのを、本能で感じた。
「ったく、ただの冗談だってのに。なんでもまともに受け止めるなよな? 少しは流すことを覚えろよ」
面倒だなと、カレはため息混じりに言葉を吐いた。