体調もすっかり良くなり、俺はなつきのお見舞いに来ていた。


待合室は、相変わらず混んでいて、重苦しい空気が漂っている。


ただ、一人除いては・・・。


「おい、優!早くなつきの見舞い行こう!」


となりのまことは俺の袖を引っ張り、極上のスマイルを見せる。


俺と、まことがなぜこうしているか不思議に思う。


すべては、なつきのおかげだと思うけど。


まことは、なつきに、きつく叱られたらしい。俺が、被害届けを出さなかったことを知って、まことは驚いていた。


「ただ、俺は他人の人生を変える権利なんてねーよ」


まことにそう言った。


まことは、しばらく俺を睨んでいたが、急に表情を和らげた。


「なつみや、なつきがお前を好きな理由わかったよ」


まことは、そう言い、握手を求めてきた。


俺は少し、迷ったけど、握手する。


「なんだか青春ドラマみたいだ」と、俺は言った。


まことは、まことで笑っていた。


俺達はなつきの病室へケーキを買い、持って行くことにした。


さんざん悩んでチーズケーキを買った。


足どりは軽く、病室へと向かう。