「ねえ、優は覚えてる?私たちが初めて会った時のこと」


「忘れるわけないだろ」


「そうだよね、たしか、大学のサークルの打ち上げの時、初めて話したんだ。あの時の優はかなり酔ってたね」


「先輩に無理に飲まされたんだ。しかたないだろ。お前となつみだって酔ってたじゃないか」


「あはは、そうだね。三人で盛り上がってカラオケ行ったんだよね。優が歌った曲は」


「記憶力いいな」


「別にいいわけじゃないよ。よく、なつみが話してくれたから」


太陽に雲がかかり、地面に影を落とした。


「なつみと三人でよく遊んだね」


「・・・・・・ああ」


「なつみと優が付き合いだしたの知らなくて、私邪魔だったね」


「そんなことない、俺達が悪かった。俺がなつみと付き合っていると、早く言うべきだったんだ」


「私、知らなくて・・・二人がそんな関係だって」


「ごめんな、でも、お前を邪魔者扱いしてたわけじゃない。それだけはわかってくれ」


一粒の雨が頬をかすめた。雲間から見える太陽は弱々しく、今にも大粒の雨が降って来そうだった。


「優、帰ろう?」


「わかった」


空を見上げると、いくつもの雨雲が姿を現していた。