□Chairs.26
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今日も森本は欠席だった。
僕が森本家で派手にぶつかり合ったから、昨日の今日でキマヅイのか、それとも違う理由があるのか―――
空席になったその場所を見ると、雅も気になっているのか同じ場所を見つめていた。昨日、結ちゃんとのことを話したばかりだ。僕は何となく…その視線を辿ることが出来ず、顏を逸らした。
その日3限目になるまで、とくにこれと言って異変も問題もなかった。しかし3限目を終えて僕の数学準備室に向かおうとすると
『神代先生、至急校長室に来てください』
と無機質な事務員さんの呼び出しに
くらっ
と眩暈を覚えた。
とうとう来たか―――
半分覚悟をしていた分ダメージは少なかったけれど、それでも内心はドキドキしている。
ただでさえ、最愛の恋人が危機に陥っていると言うのに、僕は助けるどころか次々とトラブルを招いてる。
「神代~、今度は何やらかしたんだよ」と近くを通った他クラスの男子生徒がからかいながら笑っていて
「真面目そーなのに、な」とツレの生徒も笑いながら首を捻っている。
僕は努めて真面目だ。……のつもり。
でも、こうゆうのをトラブルメーカーって言うのかな。校長先生の悩みの種になっているんだろうことを考えると、胃の辺りがキリキリしてきた。
けど、僕は自分自身が言った言葉に責任を持ちたい。どんなことを言われようと撤回も謝罪もする気はない。そう言い聞かせて
「僕のことはいいから早く教室に入りなさい。授業がはじまるよ」と僕が促すと
「へーい」と気のない返事。
特進クラスではないが、問題児の集まるD組でもない。それこそ“普通”な生徒の“普通”なやりとり。そのやり取りが随分懐かしく感じる。
廊下を歩きながら、そんなことを思い。
もうこの廊下を歩くことができないかもしれない。そんなことを改めて思うと覚悟は決めたとは言え、その足取りは重かった。



