HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~


その日の晩は明良兄が泊まってくれた。乃亜は疲れてるだろうし、自分のベッドで寝てゆっくりしてほしい。何より安全だから。


けれど仲直りしたばかりだからか、乃亜が自分の部屋に帰っても出窓に頬杖をついて窓越しにあたしたちはたくさん喋った。流行りのファッションやメイク、ドラマや映画、近くにできたカフェや行ってみたいところ。


話しているとあっという間に日をまたぐ時間帯になって、そろそろ寝ようかって言う雰囲気のところ、あたしのケータイがメール受信を報せた。一瞬ストーカー野郎かと思ったけれど、メールを開いてあたしは笑顔になれた。


「なぁに~ラブメール?」と乃亜が声を潜めてにやにやしている。


「そんなところ」


あたしも笑い返した。


メールの内容は


『今から寝るよ。夢で逢おうね』



「おやすみ」



あたしは乃亜に挨拶して、同じ挨拶文を水月に送った。


『おやすみ、あたしも楽しみにしてる』


たった一文。


その日あたしはケータイを握りしめて眠った。


残念ながらその日は水月の夢どころか、何の夢も見ず朝までぐっすりだったけれど、朝を迎えてどこかスッキリしていた。


別れているとき、あたしは水月の夢を見るだけで幸せになって、でも彼の居ない世界に絶望して―――目が覚めたら涙が溢れて。


『どうして覚めちゃったの』と泣いた。夢でしか会えないのに、だったら永遠に眠っていたい。永遠に水月と居られる、て思ったこともある。それこそ白雪姫のように眠りにつきたかった。


でも


あたしは夢ではなく、やっぱり現実で会いたい。


その為にあたしは



闘い抜く。