HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~


ううん、ホントのところは『信じたい』って気持ちかな。信じるとか、信じてないとか。そう言うの正直面倒くさいって思ってた。水月と出会うまでは。それまでは本能で大切か大切じゃないかで振り分けていた。


乃亜のことは大切、明良兄のことも大切。梶のことも大切。だからあたしは復讐を企てた。


でもその大切なひとに水月や保健医が加わり、さらに彼を信じたいと思う気持ちまで発展した。


『黙っててごめん』


水月の声が小さくなった。


「ううん……いいよ。…てかやっぱちょっと寂しいし、心配にもなる」いつになく素直に言うと


『心配、しなくていいよ。僕の大切な人は後にも先にも


君だけだ。


正直驚いてはいる。結香さんの気持ちも驚いたが、それとは違くて。



僕にこんなにも大切で大事にしたいって想うひとができたことに』



水月―――……


思わず口を覆うと



『だから尚更、結香さんの気持ちに応えられないと思った。だからきちんと断ろうと。


ごめんね、今まで黙ってて。ちゃんと説明できなくて』


「ううん、話してくれてありがと」本心だった。


あたしだって、水月に言ってないこと、言えないこと―――ある。久米との出来事。手を繋いだり、抱きしめられたり、抱きしめたり。


でも、そのどれもが久米に好意を持っての行為ではない。何だか複雑だけど、でも好きとか嫌いとかそんな感情じゃない。一言で言い表せない程複雑なのだ。この感情が何なのか考えると考えるだけ、あたしの頭と心がごちゃごちゃになって、あらゆる感情が渦巻く。それをうまく説明できない。


だから、全て片付けたらちゃんと向き合おうと思う。


久米にも




水月にも。



だからもう少し、待っててほしい。