HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~




「千夏さんと喧嘩でもした?家追い出されたんでしょ。


そうゆう理由なら…」


「泊めてくれるのか?マジでさんきゅ~♪」


調子の良い保健医がにこにこ笑ってボストンバッグを床に置き、あたしはそのバッグハンドルを掴んで持ち上げた。


「今すぐ帰って」


ボストンバッグを保健医に押し付けると、玄関の方を目配せ。


「はぁ?マジかよ。てか家なし子の俺を追い出すなんて薄情なヤツだな」


保健医があたしを恨みがましくあたしを睨んでくる。


「どうせくだらない理由で喧嘩したんでしょ。早く千夏さんに謝って、家に入れてもらいな。


てか、女生徒の家に転がり込むってどうゆう神経。


普通同僚の家でしょうが。水月の家に行ったら?」



「千夏と喧嘩したわけじゃねぇよ。今実家に帰ってる」


「はーん…喧嘩して千夏さんがマンション飛び出して、一人で居るのがさびしいってわけ?


あんた見た目に寄らずナイーブなんだね」


「見た目に寄らずって何だよ!てかそもそも喧嘩してねぇし!


水月んちに行こうかと思ったけどよ、あいつんちよりこっちの方が広いし、


てか、大体お前が原因なんだぞ!」


ビシっと指差されて


「あたしが原因……?」


あたしがあんたに何したって言うんだよ。


千夏さんが「雅ちゃんが誠人を誘惑したっ!」って言うのなら、残念だけど万に一つの可能性もない。


あたしが怪訝そうに目を上げると、


「はぁ…」


保健医は諦めたようにスーツパンツのポケットから何かを取り出してテーブルに放り投げた。