母親はポカンとして娘を見ていた。


少ししてフッと笑い、優しく頭を撫でた。


「真帆も年頃だもんね。
オシャレしたり恋したりしたいか!」


フフフ、と母親は嬉しそうに笑った。


「そういえばさっき、かっこいい男の子見掛けたのよ!どこの病室かしらねぇ。」


「どんな人!?背は高い!?髪型は!?」


久しぶりに目を輝かせて自分を見る娘に、母親の涙腺は緩んだ。


「…背はねぇ、高かったな。
髪型は今時の子って感じ。
病室、調べとくわね!」


母親からの情報を受け取り、キラキラと瞳を輝かせ、真帆は妄想の世界へと旅立ったようだった。