「…ねぇ、真帆。
いい加減に機嫌直したらどう?」


先程から窓辺に張り付いて離れない真帆に、母親は尋ねた。


コトリ、可愛らしくうさぎの形に剥かれたリンゴを窓辺に置く。


フン!
真帆は、勢いよく顔を背けた。


それを見て、ハァ‥、母親は困った顔をして溜め息をついた。


「…私もお父さんも、あなたを失いたくないのよ。」


神妙な面持ちでそう言う母親に、真帆の心はキュッと締め付けられた。