その姿が目に浮かぶようだった。
ヒサコさんのことだ、きっとバリバリ仕事をこなして結果を残してきたことだろう。
「就職してから今日まで無我夢中で走ってきました。
脇目もふらず、ただただ前に延びる道をひたすらに。
でもある日突然…ガンだなんて言われて。
お先真っ暗どころじゃなかったですよ。
仕事でしょうもないミスして。
それが原因で外されて。
やっと出来た彼氏とはうまくいかないし。
無理矢理取らされた休みを利用して実家に帰ってくれば親と派手にケンカして。そのまま飛び出したものの、行く当てもなくて…。」
トホホ…と過去を振り返るヒサコさんだが、なんだかその顔は少し嬉しそうだ。
「自分のマンションに帰ってもすることないですし、1人でふさぎ込んでると悪い方へばかり考えちゃいますしね。
だからブラリと1人で旅行にでたんです。
温泉地巡りをして。
美味しいもの食べて、温泉浸かって。」

