「覚えてます?」

「伸くん…だったよね…」

「はい。広瀬さん。」

「今日は、頑張ってください」


余裕を持って居る辺りが気にくわない。


「ありがとうございます。俺、以前広瀬さんに言った事覚えてます?」

「…宣戦布告だったよね?」

「はい。…恥ずかしながら玉砕しました。」

「……」


広瀬さんは驚く事もせずに、真剣に俺の話を聞いてくれている。


「広瀬さん、結花ちゃんを幸せにしてあげてください。……悔しいけど、俺じゃダメなんです」


広瀬さんは手を出した。


「伸君、誓うよ。。。」


「泣かせたら、俺殴りに行きますから。」


睨みつけながら話す俺に対して


「ああ、もちろん。」


そう言って俺達は握手をした。


もしかしたら、本当に任せたほうが良いのかも知れない。。。


そう思わせる人だった。



その時、開演のブザーがなる。


俺は広瀬さんに向かって一礼すると、楽屋に走った。




---本番---




俺は最高の出来だった。


お客さんもかなり盛り上がっている。


俺は初めての事で、アドレナリン出まくりだった。



結花ちゃんを見た。


嬉しそうに客席に手を振っている。




当分恋愛はお預けだな。




俺の片思いは、まだまだ続いていくのかもしれないな。



しょうがねぇな…



そう呟いてから楽屋に戻った。




明日から、いつもの伸に戻らなきゃな。。。