クールな彼氏【短編】





「…先輩、頑張って下さいよね」


そう言って笑う奏太くんに涙が出てくる。


…本当、優しすぎる。





「………あ」


驚いた様に呟いた奏太くんの声に、あたしは顔をあげる。


「……ど、どうかしたの?」


そこには、ニヤッと企む様に笑う奏太くん。


…何だぁ?



「…先輩。

……少しは意地悪くらいさせて下さいよね?」


「へ…」



そう言った瞬間。


ちゅっ、と頬に何かが触れた。



「…先輩のほっぺチュー、ゲーットっ」


「…へ」


あたしはバッと頬をおさえる。


確実に、絶対っ顔は真っ赤。




「…な、なん」

“何で?”そう聞こうとした瞬間。


グイッと誰かに腕を掴まれた。




「…え、ゎわっ!」


そのせいで、グラッと体が揺れて、背中に何かがあたった。