闇の粒が飛び散るように拡散した。
病魔が倒された証拠だ。上では院長が「やったか!?」と歓喜の声を上げている。
―やりましたよ、禿げじいさん。
羅李は不敵の笑みを浮かべてやると、その場に倒れこむ。久しぶりの大暴れであった。
――
「まったく、大したもんだ」
羅李の体に包帯を巻き終え、起きている彼をベットに寝かせながら院長が言う。
「ま、蓮見さんの指も元通りになったから、良かったんじゃないのか?」
「羅李もよく頑張った。報酬、ちょっと増やしてやるよ」
そう言ってくれたが、羅李は何を思ってか、「いや、いい」と言う。
「あんたがあの時――」
そう言いかけ、口をつぐんだ。黒い目でジッと院長を見る。
いざ言うとなると、恥ずかしく、照れくさくなってしまう。長めの茶髪をわしわしと掻いた。
「後押しには、なった」
「え?何か言った?」
「・・・いや、なんでもない」
ベットに寝転がり、あたかも幼い子供のような台詞を口にする。
「じゃあ、報酬は3%オフにするから、駅前の店でなんか奢ってくれ」
「図々しいなぁ、お前は」
にこやかに笑いながら院長は言う。
それにつられ、羅李も「ははっ」と小さく笑った。