前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―



セックスを取れば俺のモットーは打ち砕かれ(責任取れないっす!)、目隠しを取れば何をされるか分からず、恐怖の時間を味わうことになる(どんな悪戯されるんだっ)。


追々セックスに持ち越されるような気もっ、うわぁああああっ、なんでこの二択しかないんっすか!

愛と慈悲と優しさがあるならっ、もっと別の選択肢を下さいよ!


今の俺なら、メイド服やアリス服、浴衣だってどどーんと着ちゃえますよ!

女装ウェルカムっすよ!
受け男、キショくなるであろう女装男を演じてみせますっすよ!


こんな選択肢しかくれないってことは…っ、や、やっぱり先輩、すんげぇ怒ってるんっすね。
三倍増しで身の危険を感じてるっす、俺。
 

「既に車内の視界は悪いんだ。目隠しをしても然程、変わらないと思うんだがな」


そう、促してはくるけど相手は鈴理先輩だ。下心あっての選択肢に決まってる。

どうするんだと目と鼻の先まで顔を近付けてくる鈴理先輩は、どっちもして良いんだぞっと最高の脅し文句を投下。

よって俺は唸り声を上げながら承諾するしかなかった。


だってこのままじゃ両方されちまうんだぞ?
危険な賭けではあるけど、まだ健全な道が繋がっているであろう目隠しを選択した方が俺のため、彼女ため、未来のためだ。
 

よしよしとご満悦に笑う鈴理先輩は早速目隠しするよう、鉢巻状になったハンカチを手渡してくる。


ゴクリ、固唾を飲む俺は、どうか何事もありませんようにと祈りつつ、恐る恐るそれを受け取った。

んでもって彼女に警戒心を募らせながら、ぎこちない手つきで視界を覆い、キュッと後ろで結び目を作る。

緩めに結んでおこうと思ったんだけど、


「しっかり結ばないと後が怖いからな」


先手の読心術を打たれたから、ちゃーんと結びましたとも。


木綿製のハンカチで覆われた視界は、文字通り何も見えない。
視界の明暗は微かに分かるけどそれだけ。

視覚による外界の情報収集は完全に絶たれた。

何故だろう、鼓膜を振動する音がさっきよりも鮮明に聞こえている気がする。
物と物が擦れるような音、息遣い、判断のつかない雑音、どれも鮮明に聞こえるような。