―――まあいい。



いずれ、その椅子に僕が腰掛けてみせよう。どんな手を使ってでも。

支配者は孤独になりやすいと聞くけれど、僕は自分の欲を表に曝け出して自分から人脈を切るような愚かな行為はしない。


ましてや家族と対峙してしまったご老人の二の舞にはならない。


この人はいつだって僕の反面教師。

せいぜい愚行を僕に曝け出して欲しいものだ。

勿論、優秀なところも見せて欲しい。

人の技は見て盗めというし、狸ジジイの有能な一面は参考にさせてもらう。


そのために僕はこの人に従う。


「博紀、車を手配しろ。会議がある」


いつか、自分がその椅子に座るその日まで空さま以上に従順な演技をしてみせようじゃないか。


鳴かぬなら、鳴くまで待とうホトトギスってね?




「承知いたしました。御堂会長」